日本はこれまで様々な分野で中国に対して環境援助を続けてきた。また中国は 多くの国際的な環境援助を受け入れてきた。しかし中国経済が成長し、技術力が 向上し、資金も潤沢になる中で、中国が最終的に環境問題解決の軌道に乗るには、 環境問題解決を市場化の枠組みに乗せ、市場原理の中で自律的に解決を見出して いく方式に移行する必要があるし、実際にそうなっていく方向にある。今後の日 中環境協力は、これまでの援助形式から水平的な協力方式、特にビジネスパート ナーの形に移行していくことを踏まえ、本研究チームでは、日中双方の環境産業 の状況を把握し、今後の発展の方向を考え、双方にとって利益となるような環境 産業ビジネス戦略構築を目指していく。
チームリーダー:大野木昇司
連絡先(E-mail):
onogish@yahoo.co.jp
環境問題は、単に社会や科学技術上の問題ではなく、人々の意識の中に 深く根ざした問題であり、表層の制度革新や技術革新だけでは解決しきれ ないという本質を持っている。そのような意識は、人々の行動様式をさま ざまに規定しているばかりか、伝統文化や習慣の中に深く浸透して、人々 の間に共有され、ときに非常に有効な環境保護の方法を我々に示している。 現代社会の急速な発展は、人々に物質的な豊かさを提供しつつある一方、 またときに、現代社会の矛盾として環境破壊を顕在化させてもいる。我々 が今、努力すべきは、そのような社会状況に鑑み、人々の深層意識まで踏 み込んだ自然観・人間観の分析や見直しなのである。
環境文学研究チームはこのような問題意識の下、文学作品にみられる環境意 識や、環境に関する主題、環境を取り扱う文学作品の意義など、文学とい う観点から見つめ直すことのできるさまざまな環境の諸相を研究する。そ のアプローチは参加者各々の問題意識によって、それこそ無数にありうる であろう。日中の環境を文学的アプローチによりさらに掘り下げ考えてみ たいという意識ある方々の積極的な参加を心から祈念する所以である。
チームリーダー:田渕人司
連絡先(E-mail):
sainbainauu@hotmail.com
本研究チームの目的は、中国における農民の生活環境を向上させることがで きるよう、問題を構造的に理解し、実践することである。そのために、初 年度である本年度の課題は、農村における環境問題の現状を捉える作業を 中心にしていく。
ただし、中国農村における環境問題は多様である。そのため、本研究チーム の対象は、グローバル且つ解決に長期間を要するような環境問題(砂漠化、 オゾンなど生態環境問題)ではなく、比較的短期間で解決可能な問題(飲 料水の安定供給、ゴミ問題、安全食品の生産供給、農薬散布による生産者 の被害など)としていきたい。
本年度の課題は大変地味であるが、年間を通じてできるだけ多くの事例 から、今後JCEの力で解決できそうな問題やすべき問題などを明確にし ていきたい。そして、次年度以降は、取り組む問題を特定して、具体的な 援助方法などを勉強していく。3年目に援助を実践できることが理想であ る。
本年度の課題を解決するために、研究者・援助団体・政府など各界の専 門家、および書籍・インターネットなど公表されている各資料などからの 情報収集を積極的に行っていく。
本研究チームの活動は、できるだけオープンなものにしていきたい。チーム リーダーの専門は環境問題ではないため、会員各位からアドバイスなどの力を いただければ幸いである。
チームリーダー:森路未央(休会中)
連絡先(E-mail): romiounited@yahoo.co.jp
◆環境NGOパートナーシップ研究チーム
中国の環境問題に携わるアクターとして今やNGOは重要な存在となりつつある。とりわけ、草の根NGOと言われる有志により結成された民間組織の活躍は著しい。中国では依然としてNGOの活動には様々な制約があるが、その活動分野は、野鳥観察や環境教育にとどまらず、コミュニティレベルでの環境保全活動の実践、公害被害者に対する訴訟支援、開発プロジェクトの環境配慮を求めるアピールなどに広がりを見せている。そうしたなか、NGOは、政府、企業、コミュニティ、マスメディア、研究者など国内の主要アクターだけではなく、国連機関や諸外国の政府、企業、民間基金、NGOなど渉外諸機関・団体との連携・協力 (パートナーシップ)を進めつつある。
一方、日本においても、中国のこうした環境NGOの動向に注目して協力が模索されており、そのなかから具体的な協力事業を進めるケースも出ている。 本研究チームでは、中国の環境問題解決に関連したNGOパートナーシップを多義的かつ実践的にとらえ、その動向を把握していくとともに、関連情報の 収集・分析・提供を通して、NGOを中心とした環境問題解決に向けた日中間のパートナーシップの発展を促進することを目指す。
当面は多言語メーリングリストを運用して、日本語のみならず中国語も用いて日中の環境NGO活動に関する情報交換を行っていきたい。
チームリーダー:大塚健司
副チームリーダー:相川泰
チーム連絡先(E-mail)
日本語: jcengo@yahoo.co.jp
中国語: jcengochina@yahoo.com.cn